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新しい枕詞
金子武雄『称詞・枕詞・序詞の研究』
第二編【枕詞の研究】 第四章 p.148~

(1)他の語――枕主語となる語との間に、意味上あるいは音声上必ずなんらかの関係のある語であること。
(2)その語――枕主語となる語との間に、意味上の実質的な接続関係がなく、それを含む文の本義には関与しない語であること。

(中略)

たとえだれかがたった一度だけしか用いなかった語であっても、右にあげた二つの条件さえそなえておけば、それは枕詞としてみとめてよいと思う。したがって文献にたった一つの使用例しか見当たらない場合、社会化の証がないとして枕詞であることを認めまいとする態度を取るべきではなく、枕詞の本質的な条件をそなえているかどうかで判断すべきであると思う。


金子氏の枕詞に対するスタンスは古い歌を読む際に「この語句は枕詞なのか違うのか」を見定めるためのルール設定だが、短歌を作る上でも大いに勇気づけられる。なにしろ枕主語として知られている単語に古語や使わない表現ばかりでは、その枕詞はとれない。私は現代語で(口語というよりは現代語で)旧仮名遣いで歌をつくりたい。“枕詞の本質的な条件をそなえて”いるように、使える単語を枕主語としたいのだ。

どうすれば新しい枕主語を自然に使えるかしら。枕詞に意味があると思われてはいけないし、まったく遠すぎても歌の印象がばらけてしまうし、なにより実感がともなわねばならないと思う。光、と感じたときに「ひさかたの光」と思う心があればこその「ひさかたの」なのだ。
ところが心が同じであることを求め始めると掛詞系の枕詞がいよいよ難しくなってくる。というところまで考えたので続きはまた今度。
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